被害者は被疑者の逮捕を知りえるか?
前回、中村格氏の逮捕中止命令は異例か?の記事を書きましたが、被害者は加害者の逮捕を知りえるかという点でもう少し説明をしてみます。
被害者は刑事とやり取りをしているので、逮捕についてある程度の推測はできます。
例えば、海外や遠方にいる場合は、来てもらう必要が生じるかも知れないので、これこれの期間は日本にいて欲しいと言われる場合があります。
警察は被疑者を逮捕したら48時間以内に送検する必要があります。
送検をされると、検事は書類を吟味し、被疑者に対して調べを行います。
準強姦罪のような被害者の供述が重要な事件では、被害者にも登庁してもらい話を聞きます。そうして起訴するかどうかを決めるのです。
また、告訴状の提出によって逮捕が近いことを知ることもできます。
親告罪の場合は、被害者の告訴がないと犯罪が成立しません。
よって逮捕の前には告訴状が必須となります。捜査がある程度進んだ段階で要求される告訴状は逮捕の前兆と言っていいと思います。
逆に捜査が進まない段階での告訴状の受理は被疑者に任意聴取をするためのものと考えられます。
今回のケースでは逮捕が難しい旨を警察から伝えられているとあるので任意聴取のための告訴状でしょう。
任意捜査の予定が強制捜査に切り替わるのは、よほど重大な証拠や事情の変化が必要ですが、その形跡はみられません。
もし仮に逮捕状を請求したとしたら、やはり海外在住で日本の住所が不定なため海外逃亡を防止するために一応とったと考えるのが自然です。
そして被疑者は逮捕の前兆をしることはできますが、具体的な日付などを知ることはできません。
本当に逮捕できるかどうかわからないと考えているのは捜査員も同じです。