山と糸の真

このブログは社会問題化している伊藤詩織さんと山口敬之さんの事件の考察記事をアップしていきます。

なぜ民事裁判で勝訴なのに刑事では不起訴なの?

伊藤さんの事件では、

「民事裁判では同意のない性行為が認定されたのに、なぜ不起訴?」という疑問の声が上がっているので解説しましょう。

以下に準強姦の場合の刑事裁判と民事裁判の違いを書きます。

 

証拠や根拠

刑事:第三者機関である警察や検察が捜査権を用いて捜査した結果を裁判所に提出

民事:原告、被告の当事者が自分に都合の良いものを提出

 

判決の根拠

刑事:証拠に基づいて認定しなければならない

民事:裁判官の心証により認定できる

 

何を争うか

刑事:被告人が犯罪を犯したかどうか。被告人が犯罪だと認知していたことが大切

民事:原告が被害にあったかどうか。被告の故意過失は問わない

 

裁判の結果

刑事;刑罰を持って罪を償う

民事:お金でそれぞれの利益、不利益の帳尻をあわせる

 

つまり民事での判決は、裁判所や第三者機関が調べた結果ではなく、当事者の主張のどちらが正しそうかという裁判官の心証に過ぎません。

このため民事裁判で個人が大企業に勝つのが難しいという弊害が生じます。お金がある方が説得力のある裁判資料を作成できるからです。

今回の裁判では伊藤さんの6人の弁護士に、山口さんの手弁当弁護士が勝つのは難しい面があります。

 

また、刑事では被疑者が対象で被害者は参考人に過ぎませんが、民事では、被疑者が犯罪は犯したかどうかは関係なく、被害者が被害にあったかどうかを争います。

被疑者が犯罪を犯したか、被害者が犯罪にあったかは裁判の対象ですらありません。

 

また、刑事裁判の結果が刑罰なのに対して、民事裁判の結果はお金の支払いです。

どちらかの行為により、どちらかが多く損害を負ったのなら、その分を補償しなさいということに過ぎません。

 

一言でいうと民事裁判は、言い争いをお金より仲裁することです。